「かたちを覚える素材」と聞くと、少しSFのように感じるかもしれません。
けれど実は、私たちの身のまわりにはすでに“形を覚える”ものがたくさんあります。
たとえば、シワになりにくいシャツ。
曲げてもすぐ元に戻るメガネフレーム。
プリーツが崩れないカーテン。
これらすべての裏にあるのが、「形状記憶(Shape Memory)」という技術です。
そして今、この技術が傘の分野にも応用され始めています。
今回は、そんな不思議で便利な“形を覚える素材”の世界を、少しのぞいてみましょう。
1. 形状記憶とは? その仕組みと原理
「形状記憶」とは、一度“覚えさせた形”を、熱や力などの刺激によって再び取り戻す性質をもつ素材のこと。
代表的なものは次の2種類です。
形状記憶合金(ニッケルチタンなど):金属なのにしなやかで、温度によって形が戻る。
形状記憶ポリマー:プラスチックや繊維などに応用され、軽くて加工しやすい。
分子レベルでは、変形しても「記憶された形」に戻ろうとするばねのような仕組みを持っています。
一度ゆがんでも、熱を加えるとスッと元の形へ。まるで素材自身が“自分の姿”を覚えているようです。
2. 暮らしの中の形状記憶
私たちの生活の中でも、形状記憶はすでにさまざまな形で活躍しています。
● シャツや衣料品
アイロンいらずの形状記憶シャツ。湿気や熱を利用して美しいシルエットを保ち、朝の支度時間を短縮してくれます。
● メガネフレーム
子ども用やスポーツ用メガネに多い、形状記憶合金フレーム。
無理に曲げても折れにくく、すぐに元の形へ戻ります。安全性と耐久性の両立がポイントです。
● カーテンやインテリア
プリーツ加工を施すと長期間その形をキープ。湿度や光の影響を受けにくく、美しいラインを保ちます。
● 医療・工業分野
ステントや小型ロボットなど、“自ら動く素材”としても注目されています。
医療・宇宙開発といった最先端の分野でも、形状記憶技術は活躍しています。
3. 「形を覚えさせる」工程
形状記憶を実現するには、いくつかの工程を経て素材に“形を教え込む”必要があります。
形の設定:素材を目的の形に成形する。
固定(冷却・応力除去):温度や圧力をコントロールして、その形を記憶させる。
刺激による復元:使用時に熱や力を加えると、素材が元の形へ戻る。
布地なら熱プレス処理、金属なら温度変態点の制御など、素材ごとに“記憶の教え方”が異なります。
つまり形状記憶とは、**「素材に形を教える技術」**でもあるのです。
4. 「形状記憶」と「形態安定」の違い
似ているようでまったく異なるこの2つ。簡単にまとめると次の通りです。
つまり、形状記憶は「動く素材」、形態安定は「動かない素材」。
どちらも“きれいな形を保つ”という目的は同じですが、アプローチが違うのです。
5. 傘における形状記憶の応用
5.1 傘骨への応用
形状記憶合金や樹脂を使うことで、強風で裏返ってもすぐ元に戻る傘が実現しました。
しなやかで折れにくく、長く使える——まさに機能美の象徴です。
5.2 生地への応用
形状記憶糸を生地に採用することで、折りたたんでもシワが残りにくく、開いた時の張り感もキープ。
いつでも新品のような美しさを保てます。
5.3 ワンタッチ折りたたみのメカニズム
ワンタッチ自動開閉傘の中には、この形状記憶構造を応用したモデルも登場。
便利さと耐久性を兼ね備えた次世代の傘として注目されています。
6. まとめ:形を覚えることで生まれる、美しさと便利さ
形状記憶は、単なる科学技術ではなく、私たちの暮らしを快適に、そして美しく保つための知恵です。
シャツも、カーテンも、そして傘も。
“かたちを覚える素材”があるからこそ、毎日の「きれい」と「使いやすさ」が続いていくのです。
記憶するのは、人だけじゃない。
素材も、ちゃんと、かたちを覚えている。
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